そもそも母集団形成とは?

新卒採用における母集団形成とは、自社の求人に興味や関心を持っている採用候補を集めることをいいます。

母集団形成というのは、単にたくさんの採用候補を集めれば良いというわけではなく、自社の求める人物像と採用ターゲットがマッチしているかどうかが重要ポイントです。

ただ、母集団(採用候補)が少なすぎると、見極めるにあたって選択肢が少なくなってしまいますし、多い場合にはその見極め方法も効率と質を合わせて考えていく必要があります。

 

母集団形成が重視される背景

日本では買い手市場、いわゆる企業有利な状況が続いていた時期がありました。
買い手市場においては求人を出せば候補者が集まり企業はその中から選ぶだけ。
母集団形成の必要性は少なかったのです。

しかし、少子高齢化・生産年齢人口の減少などによって採用競争が激化し、一人の候補者を複数の仕事が取りあうような状態になっています。

そのため、母集団形成を意識しなければならない状態になっています。

 

母集団形成のメリット

次に、母集団形成によるメリットを3つ紹介します。

1.計画的に採用活動を行うことができる

企業が確実に必要な人材を採用し、継続的に成長していくためには「計画的な採用」が必要不可欠です。

母集団形成を意識せずに「なんとなく」で採用活動を行なった場合、目標採用人数に届かなかったり、採用したものの意図していたターゲットとは異なる人物だったという事態に陥る可能性があります。

このように計画していた採用ができないことで事業にも良くない影響が及んでしまいます。
母集団形成の考えのもと、ターゲットと人数を明確にした上で適切な採用活動を行なうことで計画的な採用が実現できるのです。

 

2.予め適切な採用予算を見積もることができる

母集団形成をもとに計画を立てることで目標採用数の設定ができます。
その上で採用手法を検討することによって採用予算の適正化が図れるのです。

もし母集団形成を行なわない場合、明確なターゲットも人数も定まらないため「とりあえず募集を開始する」状態になります。

これでは「応募が集まらなかった」「逆に応募が集まりすぎた」といった事態になる可能性もあり、当初計画と異なる余分な費用が掛かるでしょう。

母集団形成を行なうことで「このターゲットを○名採用するために」という観点で採用手法の検討ができるため、結果的に採用予算の適正化を図れるのです。

 

3.採用した社員の定着・活躍が期待できる

母集団形成は自社にマッチした人材の応募を促すことです。
つまり、応募段階で自社の考え方や社風に合わない社員、スキルや知識の不足や相違がある社員をスクリーニングできます。

結果的に採用した人材が自社にマッチしている可能性が高く定着や活躍が期待できるのです。

 

母集団形成のプロセス

1.採用の目的を明確化する

企業は、なぜ採用をするのでしょうか?答えは、事業目標を達成するためです。

たとえば、目標の売り上げに対して今の人員で目標達成が難しいのであれば、新しく人材を採用する必要があります。

しかし、やみくもに採用するのではなく、必要な人材を必要なだけ採用することが重要になります。
そのためには、日頃から現場と採用担当デコミュウニケーションを取っておくといいでしょう。

 

2.採用人数・ターゲットの決定

上記のように採用する目的・背景が明確になれば、どのような人材を採用すればいいのか明確になります。

まず、どのくらいのスキルの人を、何人採用すれば目標を達成できるのか逆算するところからはじめます。

目標を達成するには、1人いくら売り上げないといけないのか、そのためにはどのようなスキルが必要なのか考える必要があります。
未経験を採用する場合と経験者を採用する場合では、採用する人数が変わってくることも加味しなければなりません。

ここまで明確になれば、活用してくれる人材を定義でき、狙いをもって募集できるようになります。

 

3.採用スケジュールの決定

次に採用スケジュールを決定します。
その上で内定・面接・募集時期と逆算をしてスケジュールを立てていきましょう。

ここで大切なのは、上記の通り、「採用は事業目標に結びついていること」です。

まずはいつまでに事業計画を達成しなければならないのかを確かめ、そこから逆算して、いつまでに採用する必要があるのかを決めていきましょう。

 

4.採用手法の決定

ターゲット人材を必要人数採用するために最適な採用手法を決定します。

各手法毎にメリットデメリット、特徴は様々なので、事前に情報を仕入れる必要があります。

たとえば、未経験人材を狙うなら求人媒体、特定の経験を持つ人材なら人材紹介などターゲットに沿った最適な手法を選定することが大切です。

 

5.採用活動の実施

計画したスケジュールと採用手法を用いて実際の採用活動を行いましょう。
その際に、ただ採用するのではなく、自社での未来を見せる必要があります。

募集の文章や説明会、面接まで一貫して、「自社に入った後何をして欲しいのか」、「どう言ったキャリアを歩んでいくのか」を話しましょう。

そうすることで、ただ入社するだけでなく、その後の定着、貢献に繋がります。

 

6.採用活動の振り返り・修正

定期的に採用活動の結果を振り返り・改善を行ないましょう。

「計画通りに人を採用できたのか」
「定めたターゲット層からの応募はどれくらいあったのか」

細かく振り返ることで次の採用活動を更に良いものにしていくことができます。

現場の声も取り入れ、経営者とも話しながら次の採用活動に活かしていきましょう。

 

母集団形成のポイント

具体的なプロセスは理解できたでしょうか?
次は、そのプロセスをこなしていくうえでのポイントを2つ解説していきます。

1.自社に合う採用ターゲットを明確にしておく

採用してから「もっと〇〇な人が欲しかった」となってももう取り返しはつきません。
その人材が仕事を続けたとしても余計な教育費がかかり、辞めたとしてもそれまでの採用活動にかけた費用は無駄になってしまいます。

それを防ぐために、要件調整を入念に行ないましょう。
具体的には、採用目的や背景を明確にしたうえで必要な経験や知識・スキルなどを明確にしていきます。

「自社に合うかどうかは面接で判断できるので、まず応募を集めればよい」というのは間違いです。
面接にも人件費というコストは発生しています。
また面接官がどんなに優秀だったとしても、短い面接時間ではその人の能力や考え方を正確に把握することは容易ではないでしょう。

そのため特に経験やスキル面などの事前に分かる項目は母集団形成時点でスクリーニングを行ない、面接では会ってみないと分からない人柄面などを中心に判断するのがよいでしょう。

 

2.採用市場を理解し、客観的な目を持つ

求人原稿や採用サイトはターゲットへアピールするためのものです。
どんなに凝ったデザインで、かっこいい言葉が並んでいても採用市場を理解したものでなければ適切な母集団形成を実現することはできません。

採用市場は常に変化しています。
メディアが人気企業ランキングを発表したり、仕事選びのアンケートを発表したりするとトレンドは変わっていきます。
自分たちが見て良いと思う求人原稿や採用サイトが必ずしも、ターゲットの心に響くとは限りません。

そのため、何年も同じ原稿や写真を使っている、採用サイトをしばらく修正していない、という企業は改めてトレンドを調べ刷新するようにしましょう。

 

母集団形成の手法

どういった求人媒体を選択するかで、母集団形成が変わってきます。
それぞれのメリット・デメリットを把握して、ターゲットに合わせた求人手法を選びましょう。
ここでは、5つの手法を紹介していきます。

①リファラル採用

特徴 自社の社員から人材の紹介を受けたり、人材を推薦してもらう。
料金 報酬金として相場で10〜30万円
メリット ・説明会や面接の手間を大幅に削減できるため、採用プロセスを簡略化できる。
・費用がかからない。
・転職市場での獲得競争を避けることができる。
デメリット ・人材が偏る可能性がある。
・公私混同した企業に見られやすい。
・採用に伴い、紹介した社員の負担が増える。
適正企業 ・中長期的にコストを抑えたいスタートアップ、ベンチャー企業
・従業員エンゲージメントを向上させたい中小企業

 

②ダイレクトリクルーティング

特徴 ・自社の採用担当者が人材に直接アプローチする。
・各ダイレクトスカウトサービスの保有するユーザーデータベースを利用する。
料金 約60万円(初期費用プラス成果報酬型もある)
メリット ・活用次第で1人あたりにかかる採用コストを抑えられる。
・人材データベースから自社に合った人材を選んでアプローチできる。
・転職を検討していない潜在層にも接触できる。
デメリット ・自社自ら候補者から選定するため、採用にかかる時間が増える。
・ノウハウが無ければ成果が出にくい。
・自社からアプローチをするため、候補者からのリプライ率は悪い。
適正企業 ・手間をかけてもいいから採用単価を抑えたい企業
・自社のビジョンや価値観に近しい感覚を持った候補者を採用したい企業

 

③人材紹介

特徴 成功報酬型の採用支援サービス
料金 採用決定者の初年度の理論年収に、人材紹介会社が定めた料率を乗じた金額ですが、料率の相場は 約35%とされています。
理論年収は、月次給与(基本給+諸手当(残業代含む))×12ヶ月+賞与で算定するもので、実際に支払われる年収とは異なります。
メリット ・初期費用がかからない。
・契約して求人票を渡し次第すぐに候補者の推薦が可能なため、求人募集までの時間が短い。
・採用担当者の負担を減らせる。
デメリット ・採用要件や募集地域によっては希望する人材が少ないこともある。
・社内に採用ノウハウが蓄積されない。
・紹介手数料が高い企業を優先される可能性がある。
適正企業 ・採用できなかった場合の費用リスクを軽減したい企業
・急な欠員が出て、すぐに採用したい企業

 

④求人広告

特徴 転職サイトに求人広告を掲載し、サイト登録者からの応募を集める。
料金 「マイナビ転職」なら4週間20万円から、「リクナビNEXT」なら2週間で18万円から、「Wantedly」ならライトプランで4.5万円/月、ベーシックプランで15万円/月といったように、媒体やプランによって様々です。
メリット ・転職顕在層で積極的に情報収集を行っているエンジニアに情報を届けられる。
・掲載料金が固定のため、予算が立てやすい。
・人数ごとに料金が増えないため、何人も採用できた場合、採用単価が低い。
デメリット ・優秀なエンジニアほどスカウトで既に抜かれており、そもそも広告を見ない可能性がある。
・知名度が高い会社に応募が集まる傾向にある。
・採用ができなくても料金が発生する。
適正企業 ・採用予算がある程度決まっており、あまりコストをかけたくない企業
・募集文章作成ノウハウがある企業

 

⑤Web説明会・セミナー

特徴 会場を借りて行う説明会ではなく、web上で行う。
料金 無料
メリット ・遠方のターゲットでも参加しやすい。
・あくまで説明会なので、気軽に参加してもらいやすく、人が集まる。
・SNSなどで募集可能。
デメリット ・途中退席されないようなプレゼンの工夫が必要。
・参加者がカメラを切っていると反応が分からず、難しい。
・参加者の中でエントリーに進む割合が低い。
適正企業 ・自社の魅力を「口で話す」ことでより理解してもらえる企業
・まずは自社に興味を持つ人を増やしたい企業

 

⑥採用HP

特徴 自社の採用HP上で求人を出して応募を集める。
料金 無料のものもあるが、デザインや内容によっては数10万〜100万円以上かかる場合もある。
メリット ・応募が発生した際に費用がかかることはない。
・基本的に自社に興味を持って応募する候補者が多いので、定着・活躍が見込める。
デメリット ・よほど大きな企業ではない限りHPを作成しただけでは応募数はあまり期待できない。
・外部業者に作成を委託すると余分に費用がかかる。
適正企業 ・ある程度の知名度があり、一定数の人がサイトを訪れる基盤がある企業
・サイト作成ノウハウがある企業

 

⑦SNS

特徴 FacebookやTwitterなどのSNSを活用した採用方法。
料金 無料
メリット ・気軽なコミュニケーションが取れるため、ミスマッチが生じにくい。
・高い情報発信力と拡散力で、採用候補者を増やせる。
・候補者のプロフィールや投稿で人柄やポテンシャルを図ることができる。
デメリット ・炎上してしまうと、企業のブランドに傷がつく。
・定期的な投稿の更新が必要。
適正企業 ・比較的若年層を募集している企業
・まずは費用をかけずに母集団形成を始めてみたい企業

 

まとめ

現在、一人の候補者を複数の企業が取り合うような状況になっています。

その過酷な採用環境で、自社にぴったりな人材を確保するためには、「母種団形成」が必要不可欠です。

「母集団形成」は、採用ターゲットやスケジュールを明確にし、採用市場を理解してから行わなければなりません。

また、様々な求人媒体の中で自社に合うものを判断し、余計なコストをかけずに「母集団形成」を行うように心がけましょう。